▼前回までのお話はこちら
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(1)
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(2)
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(3)
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(3.5)~ひとやすみ・前編~
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(3.5)~ひとやすみ・後編~
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(4)
・夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(5)
さて、今まで約1週間にも渡って、自分の見たくない面、カッコ悪い面、出来れば人に知られたくなかった面、をさらけ出してきた。
これまでの物語は、過去の自分がスマホに書き綴った気持ちの吐き出しを元に書いてきたもので、それは前回の記事の所で終わっている。なので、ここからの文章は、「今現在」の私が書く言葉になる。
この記事で一旦この連載は区切りをつけようと思っている。
自分を変えたい、その一心で書き続けた
この連載をするにあたって、様々な葛藤があった。出来れば人に触られたくないデリケートな個人の問題をネットにさらすなんて、自分でも矛盾した行為だといまだに思っている。
それでも、なんとかここまで折れずに言葉を綴ることができた。 それはやはり、何としても自分の思考を変えたかったから。目の前の現実に一時は絶望もしていたけど、本当に最後の一点だけは自分のことを諦めたくなかったんだと思う。その気持ちだけでしがみついていた。
世間では、「物事はなんでも考え方次第」とか、「気持ちを切り替えればいい」という言葉をよく聞く。それは間違っちゃいない。いたって正しいことだと思う。
けど、その「考え方を変える」「気持ちを切り替える」というのが誰でもすぐカンタンにできて当たり前、という認識がまかり通っているところに私は疑問を感じる。そしてその認識のせいで傷ついている人がたくさんいることも私は知っている。
人の思考は意識部分と無意識部分に分かれていて、その人の思考パターンなんて、無意識部分に染みついた癖が圧倒的に影響していることが多い。
無意識にあるんだから、気付かないうちに自然にそうなっている。 そこを意識して変えようとするんだから、何度も何度も繰り返し練習しないと新しい癖は身につかないものだと私は思う。
だがそもそも、無意識部分にあることなんて普通に生活してるだけじゃ気付かないことも多い。だから、そこにたとえ今の現実を作り出している原因の思考があった場合でも「なんでいつもこうなっちゃうんだろう?」というのを繰り返してしまう。
じゃあ自分ではどうすることもできないのか、というとそんなことはなくて、要は無意識の思考は自分の行動や感情に出てくるんだから、自分を徹底的に観察して、整理して、時間をかけて言葉にして自分の意識部分で理解する、ということを実践すれば、癖に気付くことは不可能ではない。
私はそれを「文章としてブログに書き出す」という形で実践したのが今回の連載だ。
ずっと自分を隠してきたから
実は前々から、自分の抑うつ症状の根本原因は、自分のことを偽り、ずっと隠し続けてきたことなんじゃないか?と、なんとなくは感じていた。でも確証はなかった。というか、そこを直視する勇気がなかった。それはイコール、自分の弱い部分を直視することだから。
でも今まで「弱い面を見せないようにしてきた」結果がこの抑うつの苦しみに繋がっているのであれば、「弱い面を隠さずさらけだす」ことが、自分にとっての「こなすべき宿題」で、それが自分を変えるということに繋がるんじゃないかと思った。
だからブログにした。自分が知ってほしい人だけに見せるのでは意味がなくて、できれば見せたくない、と思っている人にまで見せて始めて意味があると思ったから。
そしてその仮説は、連載を続けながら確信にかわった。 ずっと自分に嘘をついてきたのだとブログを書きながら気が付いた。
結局自分は「周りを心配させないように」ということを優先するあまり、自分ではなく他人が期待するものを選び、悲しいことがあっても笑顔で振る舞い、大丈夫じゃない状況にいるのに必死に「大丈夫だ」と言い続けて、ずっと自分を隠していた。そうやって自分の中にネガティブを溜め込み続け、抱えきれなくなった分がじわじわと漏れ出して、今に至っていたんだ。
これが分かっただけで、かなりの収穫だった。
別に連載を書いたからと言って、自分の状況がすぐに劇的に変わった訳ではないけど、このおかげで自分の抱えている悩みやこれからの課題がよりクリアになった。次に自分がどうすべきかが今までよりも見えやすくなった。
溜まっていたものを吐き出したおかげで、やっと前を向くスタートラインに立てた。そんな気がする。
本番はここから
たしかに、私は様々な要因から、自分の中に無価値観を根付かせてしまったかもしれない。自分の人生を築こうにも、自信を築こうにも、そもそも自分が足を置くべき土台がない状態だった。だから一生懸命がんばって成果を出しても自信が持てず、グラグラしてすぐ潰れていた。
でも、ないと分かったなら、これから作っていくしかない。手探りでも自分で土台を築いていくしかない。
ましてや自分はこんな性格だからとか、こんな育てられ方をしてきたからとか、そんなことを言い訳にしてこれから生きていくなんて絶対に嫌だ。
この連載は一旦ここで区切りをつけるけど、あえて最終回と言わなかったり、タイトル番号を(終)ではなく(6)のままにしているのは、これで自分の心の癖に気付いて終わり、という形にしたくないからだ。むしろここからがスタートで、ここから実際に行動して、自分の人生を作っていくのが本番だと思っている。
多分そっちの方がしんどいんだろうけど、ひとまず「自分をさらけ出す」という自分にとって一番やりたくないことはやってのけたので、それを思えば何とかなるんじゃないかな、とも今なら思える。これは「前向きでいなきゃ」という今までの縛りから来るものではなく、自然に内側から湧き出てきたものだ。そのこと自体に今少し驚いた。
見てろよ、絶対に、ここから這い上がってやる。
コメント
初めまして。偶然この記事を見つけて読ませていただいたところ、共感することが多くあったので勢いでコメントさせてもらっています。
私は現在25歳女です。もともと舞台照明スタッフの仕事を5年していましたが精神的に病んでしまって昨年の秋に辞めました。高校卒業後すぐ舞台関係の専門学校に入ってそのまま就職したので、夢を追ってやりたい仕事に就けたはずなのに続けられなかった、という気持ちが、一方的ですがmiso様の記事とリンクしました。
私はプレイヤーではありませんが、特別稼ぎにはならないのに拘束時間が長い仕事環境もよく分かります。また、常に「人手が足りない、どうしてもお願いしたい」と言われて、断りきれないことがつらい一方、技術(自分)を認められたという嬉しさもあり、プライベートを我慢して仕事を受けたりしました。エンターテイメントの世界はそうやって回っていて、それが美徳であることも知りました。
そうして退職したのに、新しい仕事を探してみると同業種の求人に惹かれたりして、自分がどうしたいのか分からなくなったりしています。
そんな時に似たような業界を経験されているmiso様のお話を読んで、私のこれからの仕事の選び方、考えが少しクリアになった気がします。このブログのほかの記事も参考にしたい考え方がたくさんありました。
長い自分語りですみません。
自分のしたいこと・できることと向き合っているmiso様は素敵だなぁと思います。
あと裏方の仕事をしてるときから思いますが、演者さんは輝いてる!これは間違いないです^^
>ゆか様
初めまして!misoです。お返事遅くなってしまってすみません(´д`;)
舞台照明をされていたんですね。調子を崩されたとのことですが、今は少しでも回復されていることをお祈りします。
芸術関係に携わるお仕事はどうしてもこういった厳しい現実に直面しがちですよね・・・業界の性なんでしょうか(´-`)
でも、ゆか様も自分の夢に向かってやりたい仕事に真摯に取り組んでいたこと、これは揺るぎようのない事実ですし、素晴らしいことだと思います!まずはそんなご自身の頑張りを認めてあげてください^^
私も一旦は「一回休み」の状態になりましたし、音楽に対しては苦悩も多いですが、それだけでは割り切れない情熱がちゃんと自分の中に眠っているからこそこんなに悩むのかなぁと今は少し思えるようになりました。ゆか様にとっては、それが舞台照明の仕事なのかもしれませんね(´∀`)
コメントいただきまして、本当にありがとうございました!とても励みになりました!
まだまだ私も発展途上ですが、これからも腐らずに自分と向き合っていきたいと思います(^^)またぜひ気軽に書き込みしに来てくださいね!