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夢を追って会社を飛び出した結果、抑うつ症を再発させたとある20代女のお話(1)
会社を辞めた直後、希望に溢れていた頃の話
ここからは、時間軸を会社を辞めた直後あたりに戻して振り返ってみる。
会社を辞めてからしばらくは、お金への不安はそれほど感じなかった。すぐに生活費を稼ぐためのバイトを見つけ、お小遣い程度だが演奏がお金になるような仕事もわりかし早くに見つけられたから。そしてもともとお金のやりくりや数字が好きなタイプなので、家計管理も苦にならなかった。
額面だけでみれば、収入は会社員時代に比べて3分の1以下に落ち込んだけど、 貯金はそこそこあったし、駆け出したばかりだったので「これから頑張ってどんどん活動拡大させていくぞ!」という希望に溢れていた。
何より、ピアノを弾いてお金をもらうことは「自分の腕でお金をもらっている」という感覚と直結し、その快感は何にも代え難く感じた。初めて演奏でお金をもらった時の額はたしか2000円程だったけど、会社で悶々と過ごしているだけで銀行に振り込まれる25万円よりよっぽど価値があるように思えたものだ。
周りの人たちからも、会社辞めてからのほうが生き生きしてるね!と言ってもらえた。子供の頃から親の期待を意識しながら歩いてきた分、生まれて初めて「自分の人生を生きている感覚」があることが誇らしかった。
好奇心旺盛に動きつつも、次第に感じ始めた焦り
そこから、お金を少しでも増やすために、色んなことに挑戦してみた。
音楽では、YouTubeに演奏を載せて収益化してみた。楽譜を書いてネットで売ってみた。音楽以外にも、NISAで投資をやってみたり、こうやってブログを始めて収益化しようとしてみたり、「面白そうだなと思ったこと、且つ長い目で見れば将来性がありそうなもの」にいろいろと手を出してみた。
ここで鋭い人は、私が「資産を蓄積出来て」「適切なメンテナンスをすれば、ある程度放っておいてもお金が増えてくれる手段」にこだわっていることに気が付くかもしれない。
これには単純に「私がそういうのが好き」という理由もあるけど、現実的に時間を有効活用したいという理由もあってのことだ。演奏家業はどうしても練習に時間をとられるが、その練習時間に対価は発生しないことがとても勿体無く感じていた。私が練習したり、家で休んでいる間にも、勝手に資産が働いてお金を拾ってきてくれる仕組みがほしかったのだ。
でも現実は厳しいもので、時間をかけてそれぞれ少しずつは利益がある収入口には育ってくれたものの、それを合わせても余裕を持って食べていけるだけにはならなかった。
我慢を強いられる環境に疑問を感じ、バイトを辞める
思うように収入は伸びてくれず、失業保険を1年ほどでもらいきった辺りから急激に貯金が減りはじめた。(バイトをしていたので、少額に分散しながら長くもらい続けることが出来たのだ)
次第に焦りを感じはじめた。もっと演奏の仕事を増やさないと。そう考えた私は、会社を辞めてから続けていた飲食のバイトを辞めて他の仕事を探し始めた。
お金の不安があったのにバイト辞めたの?と今の自分でもそう言いたくなるような行動なのだけど、丁度そのころ「もっとシフトに入れないか」とじわじわと圧力をかけられていたのだ。
あくまで飲食バイトは生活の足しにするためにやっているもので、本当はもっとピアノを練習する時間を増やしたい、自分のやりたいことに使う時間を増やしたい、と思っていたので、これ以上バイトに注力することは私の本望ではなかった。
その圧力に呑まれてしまったら更に自分の時間が無くなる、という危機感と、でも申し訳ない、という罪悪感で板挟みになった。
また、そこにいる年上のスタッフの何人かとそりが合わなかった。こっちの方が理由としては大きいかも。
昭和的な「我慢が美徳」という価値観を持った人達で、私に学歴があるのが気に入らないのか何かと理由をつけてちょっかいをかけてきたり、「申し訳なさそうにしていなさい」という謎の暗黙のメッセージを常に投げかけられていたので、精神的にかなり擦り減った。それも辞めたいという気持ちに拍車をかけた。
さらに収入は減ってしまう決断をしたことになるが、当時は自分の心を守るためと考えての決断だったと思っているので後悔はしていない。でも人生の雲行きはさらに怪しくなった。
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