「生きることは、自分の物語をつくること」臨床心理学者・河合隼雄氏と小説家・小川洋子氏による心温まる対談。

心理学あれこれ

「生きるとは、自分の物語をつくること」を読みました

どうもこんにちは、miso(@miso35miso)です(・∀・)

今日は「生きるとは、自分の物語をつくること」という本を、私の感想と共に紹介してみたいと思います。

この本はAmazonほしいものリストに入れておいた商品で、ブログの読者の方から送って頂きました。本当にありがとうございます!!

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Amazonほしいものリストから、またまたプレゼントが届きました!! ブログを通してのプレゼントは、これでなんと3回目。1月の初めに届いていたのですが、遅ればせながらお礼も込めて紹介させて頂きますね。 3度目はメッセージ付きでの贈り物。嬉...

臨床心理学者と小説家によるゆるやかな会話

「生きるとは、自分の物語をつくること」は、臨床心理学者の故・河合隼雄さんと、小説家・エッセイストの小川洋子さんの対談をまとめた単行本です。

河合隼雄さんはスイスで日本人初めてのユング心理学分析家の資格を取得した臨床心理学者で、箱庭療法を日本に広め、「日本でユング心理学と言えばこの人」くらいに業界では権威の存在。小川洋子さんは、「博士の愛した数式」の作者、と言ったらわかりやすいですかね(・∀・)

対談の内容は、小川さんの代表作「博士の愛した数式」のキャラクター設定にまつわるから始まり、箱庭療法の話、宗教の話、西欧と東洋の死生観にまで広範囲に及びます。

ユング心理学自体が人のイメージや空想、夢、解釈といったあいまいなものに焦点を当てている学問ので、自然とこのようになってしまうんでしょうかね。

でも難しい論理や堅苦しい説明文は一切なく、 いつの間にかするするっと話題が移っていく沁み込んでいくような感覚。二人がとりとめもなく会話をしている様をそのまま閉じ込めたような本です。読書と言いつつまるでラジオを聞いているような文体(・∀・)

現代的なカッチリした論理的な文章に慣れている人は最初は違和感を覚えるかもしれませんが、これはもう「そういう本じゃない」と割り切ったほうがいいかもしれませんね。決して構えず、ふーん、そういう考え方もあるのかぁ、とコーヒーでも飲みながらゆったりくつろいで読みたい本です。

人は現実を受け入れるために物語を作る

小川 人は、生きていく上で難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくと言う作業を、必ずやっていると思うんです。

小説で一人の人間を表現しようとするとき、作家は、その人がそれまで積み重ねてきた記憶を、言葉の形、お話の形で取り出して、再確認するために書いていると言う気がします。

(中略)

河合 おっしゃったことは、私の考えていることとすごく一致しています。私は、「物語」ということをとても大事にしています。来られた方が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。

p.47 自分の物語の発見

人の心のはたらき、生きることの本質をこうも明快に言語化できるものなのか。さすが小説家、言葉のプロだなぁ、と舌を巻いた部分です( ゚Д゚)

生きていると、辛いことや苦しいこと、たくさんの困難にも出会います。それと同じくらい、楽しいことや嬉しいことにも出会います。

その時々の場面で私たちは感情を揺さぶられ、目の前に現れた現実に対して、ああでもないこうでもないと試行錯誤します。そのうちに「そうか、これはこういうことだったのか」と折り合いをつけて納得しながら次のステップへと進んでいきます。

そういった経験は誰しもが持っていて、決して二つとないものです。その人にはその人だけの人生があり、その人だけの物語がある。現実を受け止め、自分のストーリーを一つ一つ紡ぎあげていくプロセスこそが、人生を生きるということなのです。

人と物語について話す2人の「穏やかなワクワク感」にほっとする一冊

残念ながらこの対談企画のさなかに河合さんが亡くなってしまったので、対談は途中で終わっています。後半、あとがきには小川さんが対談から考えたこと、もっと聞きたかった話など、河合先生への思いが綴られています。

「続きはまたこんどにしましょうか」という言葉に続くページがなかった時の寂しさは何とも言えないものでしたが、でもそれもただ悲しいものではなくて、「この後にどんなお話が待っていたのかな」と読者をふんわりとワクワクさせる、そんな河合さんの魅力が沢山詰まった対談でした。そしてそれを上手く引き出し、文章として形作る小川さんの手腕もお見事。

難しい話は一切ないので気軽に読める本ですが、「博士の愛した数式」の内容を知っていればより楽しめる内容となっていますのでそちらも合わせてぜひ読んでみてください(・∀・)

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映画版もあります(・∀・)↓

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