もくじ
お金に無頓着だったイラストレーターのルポ漫画
2017年に出版されて話題になった、上田惣子著「マンガ自営業の老後」を今更ながら読みました。
いや、購入したの事態は発売してすぐだったんですけどね・・・積ん読してたら2年も過ぎちゃってた・・・最近パターン最近多いです(´д`)
著者の上田惣子さんは、25歳からイラストレーター一本のフリーランス。一時は「レギュラー16~17本、月の締め切り25本」という売れっ子だったそうですが、病気をきっかけに年収が半減。
しかしお金の管理が大の苦手(というか関心がなかった?)で、家計簿は付けておらず、確定申告も全て旦那さん任せで、普段の収入も支出も全く把握していなかったせいで、仕事が減って初めて自分に「お金がない」という事実に気付いたのだとか。
そして50歳にして老後の生活が怖ろしくなり、「将来が不安すぎるから早く死のう」が口癖だった・・・というなかなかに衝撃的なお方なのですが、でも実際フリーランスってこういう人多いんだろうなぁ・・・自分の得意分野なら一点突出ですごい才能を発揮するのに、お金のことにはまったく無頓着な人・・・(失礼
本書は、そんな上田さんが不安だらけの今を脱却するべく、お金のプロや「備えているフリーランス」の方々を取材するルポ形式マンガです。
リアルな不安体験が危機感をあおってくる
読んだ率直な感想は、「うーん、わかっちゃいたけど、やっぱり危機感あおられるな・・・」でした。
自営業は定年がない。年をとっても小銭を稼ぐことができる。死ぬまで働ける。
それは事実です。メリットです。
でも一方で、自営業は仕事が来なければ無職。依頼がなくなったら廃業。これも事実なのだ。
p.14 はじめまして――の巻
仕事のないフリーランスは無職・・・!(パワーワード
いや、でも実際そうなんですよね。しかも本の帯に書かれているように、会社という後ろ盾がないフリーランスは「収入不安定、退職金なし、年金はすずめの涙」。
つまり、何から何まで自分一人の責任で備えなくちゃいけない。仕事をつくる・とってくる所から、実際に仕事をして納品して、代金回収も自分でやって、年金や保険や税金の支払いも全部自分で。
ここ、怖いけど直視しなきゃいけないところ。怖いからって見てみぬふりして「まぁなんとかなるだろー!」っとお気楽に放置してしまうと、本当に大変なことになる。
だから、早めに現実を確認して、対策を考えておこうね!!!今ならまだ間に合うから!!!私でもまだ何とか間に合ったから!!!
というメッセージが、本の内容の至るところから切実さに伝わってきました。著者の上田さん自身が生々しく不安を痛感したからこそだと思います。
わからないから放置しちゃって余計怖くなるんですよね
自分は幸いお金の管理が苦にならない(むしろ大好きな)人間だから、不安はあれど「なんとなくこうしとけば切り抜けられるかな?」みたいな知識はそこそこ浮かぶんですが、「お金のことなんかまったくわからん!!!」という人にとってはいかほどの不安なのだろう・・・!と思いを馳せてしまいます。
そしてだからこそ見ないふりをしてしまって、余計にわからないことが増えて不安が膨らむんだろうなと。
しかし、50歳を過ぎるまで国民年金に入ってなかったとか(!)確定申告してなくて14.6%の超高利な延滞税払ってたとか(!!)
うーん、お金の知識を持ってる人からしたら「は????(゜д゜)」ってなるような上田さんのビックリ実態がすごかったですが、そうでない人にとってはある意味「こんな人もいるんだ・・・自分はまだマシかな・・・」って安心する材料にもなるかもしれない・・・?(失礼
客観的に自分の現状がわかると対策が打てるようになる
でも、そんな上田さんもこの本を制作する過程でお金に対する意識が変わっていき、
・国民年金に加入
・付加年金に加入
・小規模企業共済・確定拠出年金に加入
・保険の見直し
・財産目録を付けて生涯収支を計算
・貯金を始めた
・老後に希望を見出した
ここまで変わることが出来たそうです。単純に人様から知識を教えてもらったから、というだけでなく、改めて自分の現状を客観的に見つめ直したことで漠然とした不安が「解決すべき課題」になり、対策が打てるようになった、ということでしょうね。
本書の結びにこんなことが書かれています(実際は可愛いイラストのマンガです)↓↓
今回の本を書くにあたって改めて自分の生活を数字にしてみると
いま何をしたらいいのか どこを修正したらいいのかを考え始めるようになりました
いまやることが見えてくると「不安」もちいさくなってきて
その小さくなった不安のスキマに
将来のやりたいことやうっすらとした希望が入ってくる
そうすると不思議なもので「不安なこと」を考えるヒマがなくなっていきました
p.212 おわりに
お金のことなんてまったくわからん!という超初心者にオススメ
そんなわけで、この本は「漠然と不安だけはあるけど保険や控除の知識も何もわからーん!!」っというマネー超初心者向けに、自分のお金のことについて考えるきっかけをくれる本だなと思います。
制度の詳しい解説や小難しい細かい話はナシで、あくまでやさしく、サラッとこんな制度がありますよー、例えばこの人はこんな感じで生活してますよー、という紹介にとどまっています。
しかもマンガですし、読みやすい。「お金の知識とかムリ!!」と拒絶反応をしてしまう人でも、入りやすいと思います。マンガですし。大事なことなので2回言った。
なので逆に言えば普段からお金のことをちゃんと考えてる人には「え?それって当たり前にやることなのでは・・・?」と思う箇所もチラホラありますが、まぁそこは今まで無関心だった超初心者さん向けの本ということでひとつ。
自分もフリーランスの端くれとして、この本に書かれていることは全く他人事ではありません。自分自身の将来のために、ちゃんと備えをしておかなくちゃいけないなと気を引き締められました。
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