田中宗一郎さんのロングインタビュー記事が示唆に富む内容だった (1)

音楽について思うこと

田中宗一郎さんのロングインタビュー記事を読んで

先日Twitterのモーメントで紹介されて、ちょっと話題になってたこちらの記事。

音楽評論家・田中宗一郎さん(通称タナソーさん)のめちゃくちゃ長いインタビューで、後半はもう呪文のようなカタカナ語ばっかりで半分息切れ状態で読んでたんですが(笑)、色々と考えさせられてしまう記事だった・・・(´・ω・`)

話題がいくつかあって全部は拾いきれないのですが、印象に残った部分の感想を散文的に書いてみたいと思います。

「実際のところ、今、年間に何回タワーレコードに行って、何枚CD買います?」

「実際のところ、今、年間に何回タワーレコードに行って、何枚CD買います?」

田中さんからライターさんへの逆質問。CDが売れないと言われて久しいこの時代らしい質問というか。

自分に置き換えて考えてみたんですけど、私の答えは「買わない」でした。

というか、こんなこと言っちゃって大丈夫なのか、という所にあえて踏み込むなら、私普通に生活してて、自分から音楽聴くことない(゜д゜)

仮にもピアノを弾いてお金を頂いてる人間のはずなんですが、いつの頃からか、家にいるときも外出しているときも、一切音楽を聴かなくなっちゃった。

ウォークマンは持ってるし、専用ミニスピーカーもちゃんと部屋に置いてあるんですけどね?でも、電源を入れることほとんどないんです。オーディオメディアはもちろん、テレビもつけないので、無音で過ごすのがデフォルト。自分でも衝撃なんですが。

だから、ミュージシャン仲間とか、ライブバーのマスターとかに「普段どんな曲聴いてるの?どんなアーティストが好きなの?」って聞かれるとめっちゃ困るんですよね。だって聴かないから(´・ω・`)

で、その質問をされるたびに、音楽やってるのに、音楽を聴かない。そんな自分って音楽人としてかなりダメなんじゃないか?って、ものすごく後ろめたい気持ちを抱えちゃったりして、自責の念に駆られることもよくありました。

でも、この続きに書いてあったのが、

田中:俺、今はアルバム単位だと月に新作を10枚も聴けばいいところなんだけど、曲単位なら毎週新しい曲は100曲から200曲は普通に聴いてるんですよ。何かしらの形で。去年までは日本におけるポップ音楽の現実を直視するために「修業」と称して、二ヶ月に一回はタワーレコードに行くことにしてたんだけど、あまりにもつらすぎて、今年からは3ヶ月に一回にしたのね。とにかく意を決して渋谷のタワーレコードに行って、一階から上のほうまでバーッと見るんだけど、一階と邦楽売り場と、洋楽のPOP/ROCKの売り場でいたたまれなくなって、「どこにもまともな音楽なんて置いてないじゃねーか」っていう確認だけして帰るの。この前も渋谷のTSUTAYAの一階を覗いたんだけど、まともなレコードはコーネリアスと『OKNOTOK』とケイティ・ペリーくらいしかなかった。それも極端な見方をすれば、レーベルが展開費用を出した順に大きく展開されてるだけの話じゃん。レーベルと小売店の都合が反映されてるだけっていうかさ。だから、去年買ったのは3枚だけ。

(太字はmisoによる装飾です)

「どこにもまともな音楽なんて置いてないじゃねーか」

この言葉で、その後ろめたさというか、モヤがちょっと晴れたような気がしました。

そう、聴きたい音楽が全然流れてないんです。世の中に。だから聴こうと思わなくなっちゃった(´・ω・`)

子供の頃はずっと音楽に触れていたのに

よく考えてみれば、私だって子供の頃はずっと音楽を聴いてました。子供なのでお金はなかったけど、テレビやレンタルCDショップなど、何かしらの形でずっと音楽には触れていたと思います。

田中:金子くんはさ、どういう入り口で音楽を聴いて、どういう形で音楽を手に入れるのが一番楽しかった世代ですか?

──僕は完全にCD世代ですね。幼少期は「アニメ主題歌集」みたいなのをカセットテープで聴いてたけど、自分で初めてお金を出して買ったのは短冊形のCDシングルでした。

田中:何だったの?

──ベタすぎて恥ずかしいですけど、CHAGE&ASKAの『 SAY YES』です。

田中:いいじゃん! もはや、あれ、日本国民のアンセムのひとつじゃん。いろんなメッセージに対する汎用性のある曲だしさ。いろんな解釈に開かれてるリリックでしょ? じゃあ、どこで音楽の情報をゲットするのに一番エキサイトした?

──最初はゴールデンタイムの歌番組とかを見てたと思うんですけど、洋楽に興味を持つきっかけとしては深夜にやってた『BEAT UK』を見出したのが大きいですね。それとほぼ同時期に雑誌を買うようになって、隅から隅まで読んで、それこそ週一でタワレコやHMVに行って、輸入盤をチェックするみたいな。それが一番エキサイトした時期で、高校から大学くらい。

田中:つまり、テレビと雑誌ってことだよね。俺に関して言うと、子供の頃は何よりラジオがでかかったんですよ。小学校高学年から中学生にかけてAMの深夜ラジオを聴き始めて、そこでまず洋楽のヒット曲を知るわけ。糸井五郎の『オールナイトニッポン』とかね。で、当時のFMはアルバム一枚全部かけてくれたから、一番安いカセットテープを買って、FM雑誌を見て、手当たり次第に録音してた。パブリック・イメージ・リミテッドの『Metal Box』みたいな作品でもひとつの番組で全曲かけてくれたからね。AMとFMのラジオさえあれば、何でも聴けた時代なの。でも、本当に欲しいレコードは買ってた。

子供の頃、どんなふうに音楽を仕入れ、どんなふうに楽しんでいたかで盛り上がる二人。

そう、私にもこんな時代があったはずなんだよ。

私の場合は、毎週土曜日に近所のツタヤに行って、気になるCDを何枚かレンタルして、家で一枚のCDにまとめて焼いて、自分のお気に入りの曲だけが入ったオリジナルCDを作るのが趣味でした(・∀・)

今でいうプレイリストを作る感覚と似てるかも。中学生とかの時分でアルバムを何枚も変える余裕はないけど、そうやって自分なりに「好きな音楽」を集めることを覚え、楽しんでいたように思います。

テレビでも歌番組がゴールデンでしょっちゅうやっていたし、知ってる曲は口ずさんだりして、それが翌日学校でみんなと喋るネタになったりして。

おっ?と思わせる音楽が身近から消えてしまった

それがいつの頃からか、テレビでフィーチャーされるのは年端もいかない子供が似たような曲調に合わせて踊ってるだけのアイドルグループばっかりになって、CDショップに行ってもでかでかと店頭に置いてあるのはCDつきの握手券ばっかりで。

それで多分、どっかのタイミングで思っちゃったんでしょうね。あ、もうこんなの見ててもつまんないや、って。

私がアイドルというものに一切の興味を示さないのは単なる私の趣味嗜好の問題なので、彼らに罪はないのですが、世のメディアが余りにもそれしか見せなくなってしまったので、当時の私は自分の好きな音楽にアクセスする機会をなすすべなく奪われちゃったんでしょうね。(まだネットを駆使して、というリテラシーもなかった)

音楽が嫌いになったわけじゃない。でも、自分が心動かされるような音楽が、自分の身近な場所からどんどん消えてしまった。

その喪失感と悲しさが、私の場合は内にふさぎ込む形で出ちゃって、「どうせ聴いてもつまんないし」って自分から閉じこもるようになっちゃったのかな、とこの記事を読んで思いました(´・ω・`)

そのフラストレーションが外向きに働けば、記事で紹介されているようなストリーミングサービスの存在に早くから気づいて、そっち方面で楽しめていたかもしれないのに、いじけてふさぎ込んじゃったからそこにも乗り遅れてしまったのは痛いことをしたなぁ、と今現在感じております(・ω・)

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