演奏には気持ちを込めないほうがお客さんに喜ばれる

音楽について思うこと

先日、心理カウンセラー心屋仁之助さんのポッドキャストを聴いていたんですが、心屋さんが「日本武道館でのライブ、演奏中に考えてたことは『次のトークで何をしゃべるか』ということ」とお話されていました。

(※1.心屋さんは活動10周年を記念して、2017年2月7日に日本武道館で音楽ライブ&講演を行っています。)

(※2.こちらから聴けます。第45回です。→「心屋仁之助のホントの自分を見つけるラジオ」

ポッドキャストのパーソナリティの方は「え~!今弾いてる曲のことを考えてるんじゃないんですか!」と驚いてたけど、私は心屋さんの言うこと、とってもよくわかる。

さらに、「気持ちこめて歌わない方が、何故か人に喜ばれるんだよね~」というかなりぶっちゃけたことも言っておられたが、これも実はめちゃくちゃ共感できるのだ。

演奏中に考えていること

そう、実は私、ライブで演奏してるとき、気持ちこめて弾くことほとんどありません。(爆

「心を込めて弾きたいと思います」とたまにMCで言ったりしてますがごめんなさいあれウソです。そういった方が「ぽい」から言ってるだけです(あー言っちゃったー)

人前でピアノを弾くときに、伝えたいこの思い!届けこの気持ち!!とか思って弾いたこと、ぶっちゃけないです。わはは(・∀・)

じゃあ逆に演奏してるとき何を考えてるかというと、例えば普段弾いてるレストランだと、

  • 次弾く曲なんだったっけな?
  • 残り時間あと何分?
  • わーいあの人毎曲拍手くれるー♪
  • (ドアの開く気配)!!誰か入ってきた?ご新規2名様ー!いらっしゃいませー!
  • うわ隣のテーブルにきたアヒージョめっちゃええ匂いするやん、ほんでめっちゃうまそうやん、そんなん横で食べられたらお腹すくやん飯テロぉぉぉ
  • あー今日のまかない何かなー何かなー。あのアヒージョもいいけどお肉も食べたいなー

ということを考えてます。いや集中!!!

こうやって見ると、だいたいこの後のご飯のことですね。そうじゃないにしても、大体曲に関係ないこと考えてます。

間違っても「縦の糸はあなた・・・♡」みたいなピンクな気持ちで糸を弾いたりしませんし、

スタレビを弾きながら「あなたは嘘つきだね・・・」とやっとのことで涙をこらえながら演奏、なんてこともなったことありません。

でもね、ほんと不思議なことに、その方が聴く人の心には残りやすいらしいんですよね。

気持ちを込めると「我」が出る

逆説的なんですが、頭カラッポで、曲のことは何も考えずに弾いたときの方がお客さんの反応はいいんです。

すごく素敵な演奏でした!感動しました!って言われる時ほど、自分の気持ちだとか曲のメッセージを伝えようなんて思って弾いてないんですよ。実は。

これについてちょっと考えてみましたんですが、要するにこういうことじゃないかなと。

心屋さんも言ってたんですけど、気持ちを込めて弾くと、「自分」が出る。つまり「我(が)」が出ちゃうんですよ。

持論なんですが、芸術って、発信者がアウトプットした時ではなく、見る人・聞く人が何かを感じた所で初めて完成するものだと思っています。

そして、その受け取る側が何かを感じるためには、心が動けるだけの「余白」を残しておく必要があるんじゃないかなと。

それなのに、その余白をアーティスト側の「我」で埋め尽くしてしまったら、受け取る側の心の動く余地がなくなっちゃう。

結果、ただただ「私の気持ちを受け取って!!!」という気持ちで曲がいっぱいになっちゃって、それがある意味押しつけがましいサウンドになる 。こういうカラクリがあるんじゃないかなと思うんです。

気持ち云々よりも鳴らしたい音を鳴らすことの方が大事

私は普段、ただ演奏をするだけ。もちろん、間違えないように、とか音量気を付けよう、とか最低限のことには注意を払いますけど、基本的に「その時鳴らしたいと思う音を鳴らす」ことに努めるだけ。

具体的に言うと、「気持ちを込めて弾く」とか「悲しそうに弾く」ではなくて、ただ「なめらかに弾く」とか「だんだん大きな音で」とか「ちょっとゆっくりにする」とか、そういうことに意識が向いてます。アヒージョの傍らでそういうことはちゃんと考えてます。

そして、「そのとき鳴らしたいと思う音」がきちんと鳴らせたら、それが快感になるんです。例えるなら、太鼓の達人とかポップンミュージックとかの音ゲーでExcellent!!を連発できた時の感覚に似てるかも。

曲のメッセージ性なんかよりもむしろその快感の方が重要なので、気持ちを込めるとかはもはやどうでもよかったりするんだよねー笑。

結局芸術の本質って、そんな私の様子や演奏を見て、そこに何を感じるか、だと思うので。それぞれのお客さんが感じたものがそのまま、それぞれの真実なんだと思います。

「演奏者はストローみたいなもの」

というわけで、ピアニストの私が演奏中に考えていること、でした。

割とこれ言っちゃっていいんかな!?系のお話ですが、誰になんと言われようと実際私はそうなんですもの仕方ない(´Д` )笑

そして意外と同志は多いはず、ということを信じて発信してます笑。

もう一度心屋さんの言葉を引き合いに出しますが、「演奏してる側はストローみたいな感じで、ただ音が通っているだけ」とも仰っていました。

あぁぁぁわかるぅぅぅぅ!!!

もうちょっと噛み砕いて、私の感覚に寄せて言うならば、

「芸術」という得体の知れないものを、楽器→演奏者というパイプを通して、「音」という比較的ヒトが知覚しやすい形にして皆様にお届けしている

という感じでしょうか。

共感してくれる同業者、求む!!!


よろしければこちらも(・∀・)↓

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