もくじ
心がやられてしんどい人には、励ましもアドバイスも否定に聞こえてしまう
うつの人や、精神的にしんどい状態に陥ってしまっている人に「頑張れって言っちゃいけない」というのはよく聞きますよね。
またそれだけではなく、こうすればよくなるんじゃない?こうしたら変わるんじゃない?というごくごく優しいアドバイスでさえ、受ける本人にとっては結構苦痛になったりします。
なぜならその裏には、「今のあなたの状態はよくない」「今のあなたは見るに堪えない」「今のあなたは変わらなくちゃいけない」というメッセージがくっついているからです。そしてうつ状態に陥っているときは、これにものすごく敏感になっているので普通以上にダメージを受けるんです。
自分でもこういう状態になることがあるんだ、というのをわかってほしい
うつ状態の時に心の奥底に横たわっている心理って、「わかってほしい」なんですよね。
動きたくても動けない辛さをわかってほしい。この苦しい気持ちをわかってほしい。
そしてなにより、「自分にもこんな状態に陥ってしまうことがある、ということをわかってほしい」。これかなり重要。
人間には必ず負の側面があります。元気でいられる時もあれば、落ち込んでしまうことだってある。前向きに物事を考えられるときもあれば、ずっとクヨクヨしてしまう時もある。
本来はそれが人の自然な姿なんだと思います。でも、うつになる人というのは、今までこういう負の側面の存在を許されずに生きざるを得なかったんです。
例えば何かのきっかけで泣いてしまったら、「早く泣き止みなさい」と怒られる。ちょっと失敗してしまったら「何してるんだ」と怒られる。
大人になってからも「そんなミスするような人じゃないと思ってたのに」とがっかりされる。悩み事で悶々としていたら、「そんな風にグズグズしているのはあなたらしくないよ」とアドバイスを装ったお説教をされたりなんかしてね。
グズグズ悩んでもがいていることが、その人の回復につながる
今の自分の状態がよくない、なんてことは言われなくても本人が一番身に沁みて知っています。そしてそこから抜け出そうとしてもなかなかうまくいかないから苦しんでいるのです。なぜなら抜け出そうとするチャレンジにも、今の本人の精神力にとっては膨大なパワーを必要とするから。
グズグズ悩んでしまったり、何もできなくて悶々としているのは、それだけその人が負の感情を溜め込んできて、ようやくそれが外に漏れ出してきたというだけなんです。溜め込んできたモヤモヤを、グズグズしたり悩んだりすることでようやく発散しているんです。
つまりこれはただグズグズしているだけではなく、休息と回復に繋がる重要な行為なんです。
その休息と回復のために、負の感情を出しながらもじっとうずくまっている時間が私にだって必要だ、ということを理解してほしいだけなんです。
そこに「こうしたらいいんじゃない?」「こうすればよくなるんじゃない?」とあれこれアドバイスされるのは、「回復時間を取らずに動き続けろ」と言われているのと同義なんですよね。たとえそれが善意からだったとしても。
今しんどい人が一番してほしいのは、「そうなんだね」とあるがままを認めてもらう、ただこれだけだと思います。こんなグズグズになってしまった自分でも、そこにいることを許してほしい。
えぇ、めんどくさいですね。それは自分でもそう思いますよ。でも、うつってそういうものなんです。水は100℃で沸騰する、っていうのと同じくらい、「そういうもの」なんです。
今動けないのは、人知れず自分と闘い続けているから
これは私が思うことなんですけど、なぜ人はうつになるのかというと、「本来の自分の姿とは違う生き方を強いられてきて、その無理が限界に達した結果」だと思うんですよね。
自分でも気づかないうちに、人から褒められる自分、人から認められる自分、人から「いい人だね」って言われる自分、いつも元気で明るい自分・・・そういうものが自分の姿であり、そうあることが生きていくために必要だと思いこんでいた。
これがさっきも書いたような、「自分に負の側面を許さない」生き方に繋がってしまった。
うつは、そんな押さえ込んできた自分の負の側面の反乱です。クーデターです。いい加減俺らのこと認めろ!!って暴れまわって、ムリヤリ精神力削り取って正の側面の自分の邪魔をしている状態。
このクーデターを鎮圧するには、正の側面でねじ伏せるのでは根本解決にはなりません。自分の負の側面の存在を、認めなくちゃいけないんです。
グズグズ悩んでいるのは、一生懸命その対話をしている状態。周りから見たらただ悩んでいるだけに見えるかもしれないけど、本人は心の中で自分と一生懸命闘ってるんです。それをちょっとでも頭に入れておいてもらえるだけで、私たちは本当に助かります。
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